照明器具は一部の特殊な製品を除いて、製造・輸入においては製造物責任法(PL法)、製造・輸入・販売においては電気用品安全法(PSE法)、施工においては電気工事士法の適用を受けます。また、一般消費者においても、一部の輸入照明器具等に付属するリモコンは使用すると電波法に抵触する可能性があり、実は扱いに様々な注意が必要です。
1. 電気用品安全法について
2. 電気工事士法について
3. 電波法について
電気用品安全法(PSE)
まず、当社で一番ご質問を頂く機会が多い、電気用品安全法(PSE)について解説いたします。電化製品の多くについて区分けされており、大分類として「特定電気用品」(通称、ひし形PSE)と「特定電気用品以外の電気用品」(通称、丸PSE)また、忘れられがちですが、「電気用品安全法の適用範囲外の製品」に分類されます。
一般的な照明器具は大分類が前述の「特定電気用品以外の電気用品」、中分類は「光源及び光源応用機械器具」、小分類は「エル・イー・ディー電灯器具」や「電気スタンド」「庭園灯器具」など照明器具の種類や用途によって細かく分類されています。この分類は事故が多い製品ジャンルがあると、電気用品安全法の対象として追加されたりもしますので新しいジャンルの製品を扱う際など定期的に最新の情報を経済産業省のホームページ等で確認する必要があります。
経済産業省 電気用品安全法
細分化され、さらに追加もされる一方で条件によっては電気用品安全法の適用範囲外であるという事があります。例えばLED電球は「特定以外の電気用品」の中の「光源及び光源応用機械器具」の中の「エル・イー・ディー・ランプ」に分類されますが「(定格消費電力が1W以上のものであって、1の口金を有するもの(電球形のもの)に限る)」と定義付けられています。つまり電球形のものでなかったり、定格消費電力が1W未満のLED電球は電気用品安全法でいうところの「エル・イー・ディー・ランプ」ではない。という解釈になります。
輸入事業者および製造事業者には事業開始の報告義務、定められた技術基準に適合しているかを確認する技術基準適合義務(設計上、安全かどうかの確認)、自主検査(生産、または輸入した全数に対しての安全確認)と検査記録の保存が義務づけられています。
自主検査の「全数」という点については世界でも珍しい(海外ではロット検査や抜き取り検査が普通)と言われていますが、実際に海外の照明器具工場へ行ってみると、大抵の場合、最後の工程やランプソケットを組み付けた時点などの要所で試験機を使って耐圧、点灯などの試験を実施しております。これは実際に自分でいくつか組み立ててみるとわかるのですが、組み付けに失敗して電気配線が噛んでいないか、配線を器具内に通した際、絶縁を傷つけていないかなどなど、心配な箇所をチェックしているのです。自分の組み上げた製品が最終の工程まで行って「やり直し!」となるのは辛いので生産性向上のためにも一品一品を試験しているといえます。
輸入事業者および製造事業者は、型番ごとに製品が技術基準を満たしているかを確認(適合確認)した上で、輸入または生産した全数に対して外観・絶縁耐力・通電検査を行い、結果を保存します。合格した製品にはPSEマークを所定の位置に表示して、初めて販売を目的とした陳列や販売ができるようになります。また、製品にUL(北米規格)やCE(欧州規格)の認証マークが付されている場合においても、電気用品を日本国内で販売を行う場合には必ずPSEマークが付されていなければならないという点に注意が必要です。(併用は可)
一般的に誤認が多いのが、輸入事業者や製造事業者だけでなく、販売事業者様においても販売前にPSEの対象商品なのか、対象である場合にはPSEマークの表示がなされているかを確認する義務がある。という点です。罰則もあるので十分に注意する必要があります。
電気工事士法
施工事業者様においては電気工事士法の第4条第6項で「都道府県知事は、電気工事士がこの法律又は電気用品安全法第28条第1項の規定(PSEマークの付されている電気用品でなければ施工してはいけないという規定)に違反した時は、その電気工事士免状の返納を命ずることができる。」と、職を失いかねない重大な罰則が定められています。
電波法(技適マーク)
一般消費者においても、輸入照明器具やシーリングファンなどに付属するリモコンなどは利用する周波数や出力によっては、電波法の適用範囲内となり認証(技適マーク)が必要になります。電波法の罰則対象は輸入事業者でも製造事業者でも販売事業者でもなく、使用者である事から、電波法(特にリモコン)に関しては一般消費者であっても十分に注意が必要です。